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塩川
【しおがわ】


韮崎(にらさき)市で釜無川に合流する河川。流長33.06km。釜無川の支流。秩父山系金峰山(2,595m)の西面から発する本谷川と,瑞牆山(2,230.2m)を水源とする釜瀬川とが,北巨摩(きたこま)郡須玉町塩川で合流して,当河川となる。塩川の語源は明確でないが,上流に鉱山,鉱泉が多く,河水がやや酸味を呈するところから,名づけられたともいわれている。八巻(やまき)付近で小森川を入れ,南西方に流れ,須玉町大豆生田(まみようだ)の南方で,八ケ岳南麓から流れ出る大門川・川俣川・鳩川などを合わせる須玉川と合流する。さらに南流して韮崎市の南東方で釜無川に注ぐ。上流部では花崗岩地帯を浸食して流れるため,深谷をうがって,景勝地をなすところが多く,秩父多摩国立公園に属している。通仙峡の渓谷美は,御岳昇仙峡に比肩するといわれる。本谷川上流には金山に鉱山跡があり,須玉町小尾には増富ラジウム鉱泉が,釜瀬川上流黒森には,黒森鉱泉がある。武川(むかわ)筋を貫流する釜無川と並んで,七里岩を挟んで,逸見筋の中央を流れ,北巨摩の二大河川といわれる。古来,北巨摩地方の交通路は,塩川およびその支流に沿ったものが多く,穂坂路は文化の導入路となった。佐久往還(国道141号)は,韮崎から須玉町若神子(わかみこ)まで,当河川に沿い,若神子から,須玉川に沿って北上,長野県境に至る。逸見筋の水利・灌漑は主として当河川により,茅ケ岳山麓の浅尾・穂坂・楯無などの各堰の水源となっている。また,韮崎市中田町から取水する藤井堰は,藤井平の水田地帯を灌漑,下流は黒沢川と呼ばれ,昔はホタルの名所であった。須玉川上流の大門川および塩川上流には,現在,多目的ダムを建設中である。釜無川とともに水害の多い河川で,明治以降も記録的被害を起こしている。韮崎市南東部に,国鉄中央本線の鉄橋と並行して,国道20号に架かる塩川橋があり,その南方に第二塩川橋が完成しつつある。釜無川とともに,アユ・ヤマメ・ハヤなどの釣場として人気がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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