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大湧水
【だいゆうすい】


泉または大泉とも呼ぶ。北巨摩(きたこま)郡大泉村の八ケ岳南麓に広がる高原の谷戸(やと)と西井出の境にある湧水。八ケ岳南麓一帯はおよそ標高1,000mから1,500mの間にわたって多くの湧水が知られるが,中でもこの湧水は名称のごとく,最大の湧出量を誇り,泉川の水源ともなっている。その側に水神社が祀られ,かつては泉権現と称した。「国志」には「八ガ岳ノ南麓ニ一丘アリ岩間ニ穴アリ大サ四五尺ナルベシ清泉其ノ中ヨリ湧出ス側ラニ祠ヲ立テ速秋津姫ノ命ヲ祀ル」と見え,「老杼アリ神木ト称ス其ノ実落レバ神女之ヲ拾フ若シ人取リ去レバ必ズ水災アリト云フ」という伝承が記されている。明治8年,西井出・谷戸両村の合併のとき,その境にある大湧水の泉からいまの村名が名づけられた。当湧水は,年間を通じて水温・水量に変化がなく,しかも良好な水質を有するため,上水道水源・養魚場・灌漑用水などの水資源として有効に利用されている。特に淡水魚の孵化養殖に最適といわれ,昭和のはじめに農林省水産試験場が下流に開設され,ニジマスの孵化養殖の実験場として発足した。その後文部省に代わり東京水産大学大泉実習場として現在に至る。また付近には民営企業による養魚施設もあり,養殖漁業の振興が図られている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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