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早川
【はやかわ】


県西部,南アルプス山中を南下し,南巨摩(みなみこま)郡早川町,身延町地内を流れ,同郡中富町飯富地内で富士川に注ぐ河川。全長61km。名前の由来は,きわめて急流であることによる。白根三山の西斜面に源をもつ野呂川と,東斜面に源を発する荒川が鷲ノ住(わしのす)山西方で合流する地点からの名称で,早川町奈良田に奈良田湖(人造湖)を設け,広河内川・白河内川・黒河内川・保川・雨畑川・春木川・湯ノ川・仙城沢・楠木沢川・茂倉川・新宮川・岩殿川・播磨沢川・庄之沢・遅喰沢・江尻窪川・曙川などを合わせる。鷲ノ住山付近では穿入蛇行し,鮎差(あゆさし)より下流はほとんど糸魚川静岡構造線に沿って南下し,大島・柳島地区で再び中生層に穿入蛇行の流路をとり,雨畑川が合流する辺りから断層線に沿って東流する。奈良田や湯島では段丘地形を,新倉や保ではやや広い氾濫原を,富士川に合流する飯富では広い氾濫原を形成する。末流部には県下最長の新早川橋(557m)が架かり,国道52号が通過する。流域を早川入といい,早川に沿って,国鉄身延線波高島(はだかじま)駅から県道野呂川波高島停車場線が延びる。西山より上流は県立南アルプス巨摩自然公園内を南流し,白鳳渓谷の名で親しまれ,庭石の白鳳石の産地でもある。流域の奈良田・湯島(西山)・保には温泉が湧き,草塩には天然ガスがあり,庭石の水石がある。また流域は県下最大の水力包蔵地域で,県企業局の野呂川奈良田第一発電所(広河内)・奈良田第二発電所(奈良田)・西山発電所(下湯島),東京電力の田代第一・第二発電所・早川第三発電所(新倉)・早川第一発電所(榑坪(くれつぼ)),日本軽金属の角瀬発電所があって,総発電量は,姫川電力の雨畑発電所を含めて22万6,500kw(うち県企業局発電量11万80kwで63.3%)となる。新倉~下湯島は早川渓谷景観保存地区,田代川が合流する新倉には糸魚川静岡構造線の露頭がみえ,下流の小原島の貝化石の露頭と早川橋のモクゲンジ林は県の自然記念物。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7098090