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夜叉神峠
【やしゃじんとうげ】


中巨摩(なかこま)郡芦安村にあって,大崖頭山(2,186.1m)と高谷山(標高1,842.1m)を結ぶ稜線上の鞍部。標高1,770m。付近に強大な夜叉神がすみ,雲を集めて大雨を降らせ,山を蹴って土砂を流し,時には雲を散らして旱魃の害をもたらすなど大被害を与えたので,人々は夜叉神の祟を恐れ,御勅使(みだい)渓谷が展望できる峠に祠をたてて夜叉神を祀ったという伝説から夜叉神峠と呼ぶ。芦安村は耕地のきわめて少ない山村で,山仕事で生計を立てていた。昔,村人は当峠を越えて早川(上流を野呂川という)の谷に入り,木材を切って早川を筏で下ったり,山小屋へ泊りこんで炭焼きを行った。昭和30年に当峠と高谷山を結ぶ稜線の下に夜叉神トンネルが開設された。そのため早川流域の多量の木材が搬出可能となった。当峠の東麓には村営グリーンロッジや芦安鉱泉・桃の木温泉があり,野呂川渓谷の広河原は北岳登山の基地であり,南アルプス林道が通じて観光地として有名になった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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