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安曇野
【あずみの】


県北西部の広域通称名。安曇平ともいう。梓川左岸を南端,大町市の高瀬川右岸を北端とし,松本盆地の北半部を占める。南北31km・東西8km。東筑摩郡明科(あかしな)町,南安曇郡梓川村・三郷(みさと)村・堀金村・豊科(とよしな)町・穂高町,北安曇郡池田町・松川村,大町市が含まれる。西縁は南北方向に走る断層を介して古生層や花崗岩より成る飛騨山地に限られる。耕地や居住地の限界は標高800m付近で地形上は山麓線をなし,これより東側が安曇野となる。東へ展開する扇状地は南から北へ梓川・黒沢川・烏川・中房川・芦間川・乳川などによるもので,南流する高瀬川とともに大複合扇状地をなす。安曇野の東縁は準平原の面影を現在もとどめる新第三紀の丘陵地帯で,住民は東山と呼ぶ。安曇野で最も低い所は明科町下押野の県道大町明科線犀川橋付近で,標高515m。北西からは高瀬川が滑らかな曲線を描き犀川と合流し,松本盆地のすべての水を集めた犀川は丘陵地帯を嵌入蛇行して長野盆地へと向かう。穂高町の地点で安曇野の気候をみると,昭和54~62年の観測値では年平均気温10.7℃,最高気温は35.4℃,最低気温は-17.1℃,年降水量960mm。犀川の水深が浅く冷水が大量に湧く明科町付近は,サケの産卵適地でもあり,古代から昭和初期までサケ漁が盛んに行われた。昭和初期からの電源開発事業でサケの溯上はみられなくなったが,ニジマスの養殖が行われた。また県産米の約3分の1を産する穀倉地帯であったが,近年ではリンゴ栽培に転換されている。湧水を利用したワサビ栽培も著名。飛騨山脈・上高地などや,穂高町の碌山美術館,豊科町のあづみ野ガラス工房などを訪れる人も多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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