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上川
【かみがわ】


茅野(ちの)市・諏訪市を流れる1級河川。流長40.984km。八ケ岳火山連峰の冷山より流出し,諏訪湖に注ぐ。上流部は霧ケ峰・蓼科(たてしな)山および北八ケ岳の山々に囲まれ,北山浦地方全域にわたる。支流は霧ケ峰より流出する音無(おとなし)川,蓼科山よりの滝の湯川,八ケ岳連峰の天狗岳よりの角名(かくみよう)川と横岳よりの柳川など。茅野市米沢から上流部は蓼科・八ケ岳火山の火山泥流地を浸食して渓谷を形成し,奥蓼科高原あるいは蓼科中央高原と呼ばれる。渓谷中の川幅は広くなく渓流に近いが,谷は深く奥蓼科温泉郷をなす。このうち横谷温泉付近は横谷渓谷と呼ぱれ,春・夏・秋を通し植物景観が優れている。支流の滝の湯川中流部には蓼科温泉郷がある。上川と滝の湯川流域一帯は高原の雄大な自然景観と温泉により,県下の代表的な観光保養地を形成する。上川は中流部の茅野市米沢付近からは勾配がゆるく堆積作用をはじめ,低平な谷底部をなし,さらに茅野市本町付近には扇状地を形成する。茅野市街地からは流路を北西に変え,低平な諏訪盆地を流れ諏訪湖に注ぐ。盆地部では,標高800mの茅野市街地から標高759mの諏訪湖まで,8kmの流路でおよそ40mの比高しかない。このため下流部は堆積作用が盛んで,小規模な自然堤防を形成し,河口付近は低湿な三角州をなす。上川水系は江戸中期以来,火山高原の乏水性地域にとって重要な灌漑用水源をなしてきた。本・支流の各河川の上流部を互いに連結して相互に水量を融通し合う繰越し堰と呼ばれる形式をとり,これにより高原一帯には多くの新田集落が開発された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7100073