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烏川
【からすがわ】


南安曇(みなみあずみ)郡堀金村・穂高町を流れる1級河川。流長21.5km。北アルプス表銀座の蝶ケ岳東斜面より流下し,穂高町東部の国道147号の穂高橋近くで燕(つばくろ)岳から流下する穂高川(中房川)に合流する。上流では,小野沢・一ノ沢・二ノ沢・東沢の各支流が流入する。上流部は北アルプス山中を流下するため深い渓谷と急勾配をなす。山麓には扇状地を展開し,扇端は犀川との合流点まで続く。上流部は粘板岩地帯で,花崗岩地域のような白色の砂礫でないため烏の名が付いたともいわれる。本・支流とも上流の集水面積が小さいために流量が少なく,多量の土砂を堆積した扇状地のため,きわめて乏水性が大きい。このため扇状地上は近世以前から用水路が開発された。現在は信州の穀倉といわれるほど水田が卓越し,安曇野と呼ばれる観光地をなしている。山麓部に残存する雑木林地帯は保養地に利用され,大正末期に上流部には発電所が建設された。扇端部は豊富な地下水が湧出し,これを利用したワサビ栽培が名高い。年間を通じ12~13℃ほどの水温は,水の清冽とあいまって,全国的に知られた信州ワサビの栽培地をなし,観光客も多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7100207