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裾花川
【すそばながわ】


戸隠山の北西より流下し,長野市街で犀川に注ぐ1級河川。流長40.1km。上流より天神川・小川・楠川・シシ沢川などを合流する。全流路にわたりほとんど峡谷をなす。流域の地層は礫岩・砂岩・泥岩などの第三紀層からなり,これらが深く浸食され,いたる所に絶壁や奇岩がある。上流部の戸隠連峰西側の部分は奥裾花渓谷といわれ,貝などの化石が多く,ブナの原始林や水芭蕉の群生地で知られる。また流水による浸食で,木曽殿アブキと呼ばれる洞穴など種々の浸食地形もみられる。昭和40年に林道が通じたため,長野市から車で50分で行くことができる。上水内(かみみのち)郡鬼無里(きなさ)村の中心集落である町のある小盆地は裾花川の中流部にあたり,川沿いではここだけが沖積地をなす。この盆地から下流部,長野市街に出るまでの約30kmは峡谷の連続で,この部分も裾花渓谷と呼ばれる。鬼無里村の中心部から長野市街までの交通は,明治30年代に開通した裾花川に並行した道路が唯一であるが,絶壁断崖が多く,降雨期はがけ崩れを起こす。川沿いの道が開かれる以前は峠を越えて長野市街に出た。現在の道も瀬戸峡辺りは狭く危険なため,トンネルを建設中である。下流部の長野市小鍋にはダムが構築され,地下発電所もある。この付近は小鍋峡と呼ばれ,断崖から流下する小規模な滝や,ダムに架かる橋上からの湖や渓谷の眺めはすぐれている。これから下流約1kmに善光寺温泉がある。裾花川の全流域は急傾斜地のため耕地は少なく,その多くは麦や大豆の畑作地であるが,昭和30年代までは大麻の栽培が盛んであった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7101476