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裾花渓谷
【すそばなけいこく】


上水内(かみみのち)郡鬼無里(きなさ)村・同郡戸隠村・長野市を流れる裾花川が形成する渓谷。裾花川は砂岩・泥岩などの第三紀層中に深い谷を浸食している。流路の大部分は峡谷をなすが,中流部に小盆地を堆積し,これにより上流部の渓谷と下流部の渓谷に分かれる。上流部は戸隠連峰の西側を北より南流する部分の渓谷で,両岸の絶壁や洞穴などの浸食地形とミズバショウの大群落やブナ原始林で代表される植物景観に特色があり,この上流部の渓谷は奥裾花渓谷と呼ばれる。なかでも標高1,250mの高所にあるミズバショウは冬季3mほどの積雪に覆われ,5月中旬に満開になる。またこの付近から上流はブナの原生林で6月の新緑は見事。ミズバショウの地点までは,JR信越本線長野駅よりバスで約70分,さらに徒歩で30分かかる。下流部の渓谷は長野市小鍋付近で,長野駅よりバスで30分。この部分は小鍋峡谷とも呼ばれ,同所から上流3kmの間には,五色(ごしき)滝・不動滝・桝岩・傘岩・五蛇淵・樋淵・竜潜洞などがある。裾花ダムのダム湖に架かる橋上から見る両岸の絶壁と新緑や紅葉が美しい。ダム湖近くに,「山藤に奇岩,激潭あげにけり」の裾花峡歌碑がある。裾花渓谷を代表するのはこの2か所であるが,この地点以外も大小の規模の渓谷が連続し,裾花川と並行する国道406号から自然の景色を楽しめる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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