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善光寺平
【ぜんこうじだいら】


長野盆地ともいう。県北東部,千曲川両岸に広がる盆地。長野市・須坂市・上高井郡小布施(おぶせ)町・上水内(かみみのち)郡豊野町にまたがる。南北約35km,東西の最大幅13kmで,面積約280km(^2)。標高は,千曲川上流の更埴(こうしよく)市の千曲橋付近で360m,下流の中野市の立ケ花橋付近で330m。ほぼ中央部で犀川が千曲川に合流する。南西部を特に川中島平という。中央から南部では1月の降水量が40mmを切っており,晩秋から初夏にかけて乾燥の著しい気候となる。このためこの一帯は成熟期に乾燥を要求する麦作の適地であり,年平均気温が11℃を上回ることもあって,かつては典型的な米麦二毛作地帯であった。善光寺平は地質的・地形的また歴史的・社会的に性質の異なる千曲川の右岸地域と左岸地域とに大別される。千曲川右岸地域は近代の鉄道交通が始まる頃から河東地方と称されてきた。善光寺平の東部は河東山地で画される。上信火山列から河東山地を経て流下する急流性河川は明治期から大正期にかけて製糸業さらに電力事業の動力源となり,大正期から昭和期にかけては電気化学工業のエネルギー源にもなった。一方,千曲川沿いの住民は古来洪水の被害に苦しんできたが,大正7年から昭和16年にかけて犀川・千曲川両岸の堤防工事が行われた。また両河川を円滑に合流させるための導流堰は,同27年から4年間の工事で完成した。千曲川の自然堤防地帯と,千曲川に流入する河川の作る扇状地地帯は,リンゴをはじめスモモ・モモ(ネクタリンを含む)・ブドウなどの落葉果樹の大産地である。現在の果樹園のほとんどは養蚕の不振から桑園が転換したものである。現在,この地方の工業の核となったキー・プラントと呼ばれる有力工場と,その下請け企業や,広域にわたる情報サービス業などの集中により,長野市が善光寺平とその周辺に及ぼす力が大きくなってきている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7101552