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遠山川
【とおやまがわ】


県南部を流れる1級河川。流長34.108km。赤石山脈の聖岳の西斜面より流下し,上流部では聖岳や大沢岳より流下する北又沢・兎洞(うさぎぼら)沢・加々良(かがら)沢など,中流部では最大の支流上村川を合流する。下流部では八重河内川を合わせ,天竜村で天竜川へ注ぐ。これらの本・支流のうち,上村川・遠山川・八重河内川は日本最大の地質構造線である西南日本地質構造線に沿って流れ,東側の古生層よりなる粘板岩や砂岩の赤石山脈と花崗岩が基盤である伊那山地の間を走る一大断層線を深く浸食している。両側は急斜面をなし,幅1kmにも満たない狭長な平地が谷底に続く。遠山川の谷は遠山郷と呼ばれ,この谷に入るには天竜川との合流点から遠山川に沿って上流に向かう以外は,東西は山地山岳で隔てられ,北と南は標高1,000mの峠を越えなければならない。遠山川の谷は,中世より大正頃まで静岡県の秋葉山神社や遠江に出る最短路としてにぎわい,秋葉街道と呼ばれた。現在はこの構造谷に沿って,地図上には国道152号が示されているが,一部は歩道程度で,まぼろしの国道と呼ばれる。地元住民の流出は激しく,川の急斜面に点在する小集落と畑は秘境を思わせる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7102047