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中房川
【なかぶさがわ】


南安曇(みなみあずみ)郡穂高町を流れる1級河川。流長27.795km。常念山脈の燕(つばくろ)岳より流出し,犀川に合流する。正式の河川名は穂高川だが,地元では常念岳より流出する烏川の合流点までの部分を中房川と呼び,合流点以下を穂高川と呼んでいる。中房川は上流から中川谷・冷(つめた)沢・乳川・天満(てんま)沢・烏川などを合流する。北アルプス山中では深い浸食谷をなし,両岸は断崖の連続で,上流部にある中房温泉への道も冬季は危険なため通行不能になる。左岸にある有明山麓の宮城で松本盆地に出て扇状地を形成する。花崗岩地帯を流下するので,扇状地上や河床の砂礫は白く明るい景観を呈するが,乏水性が強く,扇頂部は有明原と呼ばれナラ・クヌギ林の原野である。山中の渓谷には玉垂の滝・弥助の滝・布引の滝などや奇岩・断崖部もあり,最奥部には1軒だけの中房温泉がある。北アルプス表銀座と称される常念山脈縦走の登山路はこの渓谷が最も利用される。乳川・烏川の合流点より下流部は,一般に穂高川と呼ばれるが,犀川との合流点付近は扇状地末端部のいたる所で地下水が湧出するため,信州特産のワサビ栽培地となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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