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松川
【まつかわ】


県北東部を流れる1級河川。流長26.378km。志賀高原の横手山頂直下より流出し,上高井郡高山村を縦貫して同郡小布施(おぶせ)町で千曲川に合流する。中流部で群馬県境にある土鍋山から流出する樋沢川を合流する。源流から樋沢川との合流点付近までは侵食作用で深いV字谷を形成する。ことに山田温泉より上流部の浸食谷は松川渓谷と呼ばれ,白根火山の泥流を下刻し,雷滝がかかり,数百mにおよぶ谷壁や清流は春秋にわたり見事な自然美を構成している。またこの渓谷部には下流から山田・五色(ごしき)・七味(しちみ)などの温泉群が点在し,露天風呂もある。樋沢川を合流した辺りからは堆積作用が盛んで,上流より流出した砂礫で典型的な小布施扇状地を形成する。現流路は小布施町と須坂市の境であるが,かつては小布施町を流れ,次第に南に移動し現在に至っている。本・支流の源流一帯は硫黄鉱床のため河水は酸性が強く,下流部になると河床礫は赤褐色を呈する。中流部には段丘地形を形成し,高山村の宮村・荻久保・牧などの集落はいずれも段丘面に立地する。扇状地面は厚い砂礫層のため乏水性が大きく,須坂市の高畑一帯などは昭和初年まで未開墾地が多かった。小布施の名物クリも松川両岸の酸性土壌のため,ほかに適当な作物が見当たらなかったことから栽培された。千曲川との合流点付近は扇状地の末端部で,千曲川の自然堤防との間に後背湿地を形成し,松川は容易に自然堤防を乗り越えて千曲川に注ぐことができず,千曲川の下流に向かって並走している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7103364