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槍沢
【やりさわ】


南安曇(みなみあずみ)郡安曇村の北部にある沢。飛騨山脈槍穂高連峰の主稜線東側を流れる梓川源流部の沢。流域の最高峰である槍ケ岳に源を発し,一ノ俣谷との合流点付近までは南東方向に流れ,ここから向きを南に転じ,横尾谷との合流点に至る。沢の地形的特徴は,最終氷期に形成された氷河地形が流域に豊富に残されていることである。一ノ俣谷との合流点付近より上流側の谷は氷食谷であり,断面がU字形を示すことから,槍沢U字谷とも呼ばれる。氷食谷の源頭部一帯には圏谷(カール)があり,氷食谷の谷底部および圏谷底では堆積堤(モレーン)が見られる。標高2,650m以高の殺生カール・天狗原カールなどは圏谷の代表例。また堆積堤の代表例としては,殺生モレーン・ババ平モレーン・一ノ俣モレーン・二ノ俣モレーンなどが挙げられる。流域の登山道および山小屋は整備されており,夏季には登山客でにぎわう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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