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墨俣川
【すのまたがわ】


洲俣川・洲股川とも書く(美濃雑事記)。長良(ながら)川の部分称で,昔は墨俣より南を墨俣川ともいった(墨俣町史)。天正14年の大洪水以前は木曽川は墨俣で長良(ながら)川と合流していた。「美濃雑事記」に「往昔は尾張,今は美濃国安八郡洲ノ股村にあり。川中を尾濃両国の堺と云。養和元年三月平家と頼朝合戦の時,義円美濃国洲ノ股にて討死す」とある。交通・軍事上の要衝で,美濃路の墨俣宿が川に面していて,対岸に墨俣の渡しがあった。また美濃路を通った人々の紀行文にも見える川で,「覧富士記」に「すのまたは興おほかる処のさまなりけり。川のおもていとひろくて,海づらなどの心ちし侍り,舟はしはるかに続きて行人往馬ひまもなし」とあり,「吾妻鏡」にも嘉禎4年将軍家御上洛の条に「九日乙酉依去夜風雨洲俣・足近両河浮橋流損」とあり,渡しは舟橋であったことがわかり,「濃州徇行記」にも「すのまた川船渡をかくる時,尾州領と加納領と川半分づゝ橋船を出し」とある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7106736