西谷
【にしだに】

福井県境の三周ケ岳東斜面に発する揖斐(いび)川の支流。揖斐郡藤橋村西南部を東流し上開田で東谷（揖斐川本流）と合流する。上流は1,200mを越す古生層山地をうがって険しいＶ字谷をなすが，入谷(にゆうだに)合流点付近から下流では穿入蛇行が顕著で，曲流の滑走斜面は谷底平野となり，門入(かどにゆう)・戸入(とにゆう)の２集落がある。人口の減少が著しい過疎地で，近年乗用車の通行が可能になった林道を村営バスが１日２往復する。昭和56年着工予定の徳山ダムの完成で水没するのは戸入だけだが，門入も移住を要望されている。門入南方のホハレ峠越えの林道は，かつて坂内村川上，鳥越峠を経て滋賀県に至る重要路であったが，第２次大戦後は門入地区産のブナ材の輸送に一時利用されたものの，現在は荒廃している。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7107797