飛水峡
【ひすいきょう】

飛騨川中流にある峡谷。白川口（加茂郡白川町）から上麻生(かみあそう)（同郡七宗(ひちそう)町）に至る12kmで，上流の中山七里に対して下山七里と称することもある。古生層や濃飛流紋岩からなる飛騨美濃高原が深く浸食され，２億年前のものと推定される秩父古生層（主にチャート）がむき出しになったけわしい峡谷。飛騨木曽川国定公園の中核をなし，イワツツジの花と新緑・紅葉の時期が特にすばらしい。とりわけ上麻生近くの2kmは，岩石段丘，断層鏡肌(かがみはだ)面，直径1m以上のものだけでも800を数える甌穴(おうけつ)（昭和36年国の天然記念物に指定），チャートの縞模様の複雑な褶曲などが特異な空間を形成する。昭和30年代からロックガーデンの名で広く紹介されるとともに，特別保護地区に指定された。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7108205