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神坂峠
【みさかとうげ】


信濃坂ともいった。中津川市神坂と長野県下伊那(しもいな)郡阿智村との県境にある峠。恵那(えな)山と富士見台の鞍部で標高1,595m。峠名は日本武尊が東国征伐の際通ったという記紀の伝承による。東山道の最大の難所で,「ちはやぶる神の御坂に幣奉り斎ふ命は母父がため」という防人歌(万葉集20)が残されているし,また弘仁6年に西澄が越えた際高山病の症状に苦しんだとも伝える(叡山大師伝)。和銅6年東山道整備の一環として吉蘇路が開通してから一時衰微したが,平安期に再び官道とされた。大井駅の北方千旦林(せんだんばやし)からこの峠を経て信濃国阿智村に至るのが,中世の官道であった。「今昔物語集」には,天元年間に信濃国司であった藤原陳忠が任期を終えて京に帰る途中この峠で谷底に転落した時に,地頭が「倒れたところで土をつかめ」といったという話が収録されている。現在は中央自動車道恵那山トンネルが峠下を通っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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