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山王峡
【さんのうきょう】


磐田(いわた)郡水窪(みさくぼ)町の天竜川支流水窪川と戸中(とちゆう)川との合流点付近から水窪ダムまでの戸中川沿いに位置する長さ約1.2kmの渓谷。天竜奥三河国定公園の一部。秩父帯と四万十層群との境界あたりを横断するため,激しい下方浸食によって形成された比高約130mの岩壁が両岸にそそり立ち,大石峰の重なり合う中を曲流する。春のツツジ,夏の緑,秋の紅葉と四季折々の渓谷美が楽しめる。山王峡や水窪ダムを含む戸中川は,戸中山や黒法師岳からの東俣沢,黒沢山からの西俣沢を合わせ,曲流と渓谷をなしながら流れ,水窪川に合流する。流長10km・流域面積57km(^2)。川名は栃生谷から転化した。上流には国有林が多く,かつては森林鉄道が川沿いに敷設されていたが,現在は林道が通じている。戸中川と水窪川との合流点近くに,昭和44年水窪ダムが完成した。戸中川をせき止めて建設された発電用ダムで,電源開発所管。総工費11億5,000万円・堤高105m・堤長224m・有効容量2,080万t,岩石と粘土で築かれたわが国でも数少ないロックフィル式ダムで,間接貯溜調整としての役割を持つ。水窪ダムによってせき止められた水窪湖の水は,気田川の水とともに導水管を利用して,219.5mの落差をつけ,下流の水窪発電所に送られる。ここでは,佐久間発電所内の運転制御所からの遠隔操作により最大出力5万kwの発電が行われている。人造湖は春秋の景観が親しまれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7111724