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白糸の滝
【しらいとのたき】


富士宮市白糸にあり,昭和11年国の名勝天然記念物に指定された名瀑。この付近の地層は,下層部に透水性の悪い古富士泥流層が基盤となり,その上を透水性に富んだ新富士火山溶岩層が覆っている。白糸の滝は,この2つの地層の間の豊富な地下水が両者の不整合面から湧出して作り出した滝である。従来この地下水は,富士山の直接伏流であるといわれていたが,最近の研究で,富士山伏流説が否定され,芝川本流の表流水が再伏流していることが明らかにされた。白糸の滝は,芝川の分流が落下する主瀑と幅120~130mに及ぶ馬蹄形の垂直壁から,玉すだれ状に落ちる大小無数の滝からなる。その景観について,「県名勝案内」は,「幾千百条乱れて糸の如く」と壮大な情景を記述。滝の命名も,絹の白糸が玉すだれのような景観に由来している。東隣の男性的な音止(おとどめ)の滝に比べて,女性的な繊細さを感じさせる。昭和46年国道139号のバイパスとして富士宮有料道路が開通し,朝霧高原や山梨県富士五湖方面と結ばれたため,西富士観光の中心となり,年間300万人を超す観光客を集めている。白糸の滝周辺は,曽我兄弟仇討の伝説や源頼朝富士の巻狩りの史実など話題の多いところ。文学でも,特に和歌では,加茂季鷹(かもすえたか)・日蓮上人がこの滝を詠み,頼朝の「此の上にいかなる姫がおわすらむをだまき流す白糸の滝」はよく知られている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7112156