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寸又峡
【すまたきょう】


榛原(はいばら)郡本川根町,寸又川にある壮大な峡谷。寸又川ダムの下流あたりから大間(おおま)ダム・飛竜橋付近までの間を指す。急峻な山地に曲流を繰り返しつつ深く切り込んだ穿入曲流の地形で,渓谷美で知られ,寸又峡温泉などを含む付近一帯は,昭和43年奥大井県立自然公園に指定されている。寸又川は大井川最大の支流で,流長16.5km・流域面積254km(^2)。赤石山脈南部,光岳から池口岳にかけての山地の南斜面に源を発し,本川根町土本で大井川に合流する。栗代川・大間川などの支流を持ち,流れが激しく峡谷や曲流部が多い。規模の大きい峡谷部が寸又峡で,千頭・寸又川・大間などのダムも造られ,電源開発の歴史も古い。流域は国有林面積も広く,森林軌道が通っていた。寸又川の渓流に沿う寸又峡温泉は,昭和37年寸又川の支流大間川沿いの湯山に湧く温泉を本川根町大間に引湯して開かれた。泉温43℃の単純硫黄泉。大井川鉄道千頭駅・奥泉駅からバスが通じる。春は山桜,夏は新緑,秋は紅葉と四季折々の景観を満喫できる。周辺には,大間ダムに架かる大吊り橋,飛竜峡に架かる飛竜橋,両橋を結ぶ遊歩道などの見どころがあり,寸又峡探勝の基地として親しまれ,奥大井観光の一拠点となっている。泉源地は湯山温泉として明治期から知られており,大間川左岸支流に湧出していたが,ダムや水路の建設で泉源地は移動した。寸又峡温泉のある大間の平坦地は,河床から比高100mほどあるが,寸又川の曲流による旧河床で,曲流が切断されたその跡地にあたり,その上にこの谷最大の集落をのせる。寸又川にある寸又川ダムは,本川根町奥泉に昭和11年完成した発電用ダムで中部電力所管。寸又峡の一部をせき止めて造られた重力式コンクリートダムで,堤高34.2m・堤頂長75.5m・有効貯水量52.2万t。大井川本流の大井川ダムとは間に標高716mの南北方向の山地を挾んで直線距離で約1kmを隔てる。寸又川ダムの水は東の大井川ダムの水と合わせて崎平(さきだいら)の大井川発電所まで送られ,最大出力6万8,200kwの発電を行っている。このダムの上流には,大間・池の谷の2つの大きな切断曲流がある。また,大間ダムは,寸又川にある寸又峡の一部をせき止めて昭和14年に完成した発電用ダムで,中部電力所管。重力式コンクリートダムで,堤高46.1m・堤頂長106.9m・有効貯水量74.1万t。このダムの水は大間発電所に送られ,最大出力1万3,200kwの発電を行っている。ダム周辺は井川湖周辺と並ぶ奥大井観光の拠点となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7112301