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袖師ケ浦
【そでしがうら】


清水市袖師,庵原(いはら)川河口一帯の海岸で興津の清見潟の延長である。「から衣袖師が浦のうつせ貝むなしき恋に年のへぬらん」という藤原国房の歌があり,平安期から名所でもあった。堯孝法印の「覧富士記」永享4年10月20日の条で,清見潟をたずねたとき「袖しの浦は出雲国とこそきゝ侍しに此うらはに同名侍りけり。于時白雲重畳,彼山及瞻望」と述べている。また,宴曲に「袖志浦恋」と題して「恋すてふ袖志の浦に拾ふ玉の たまたま来ては手にだにたまらぬつれなさはからからと懐貝のからかひて つひに逢はずば玉匣(たまくしげ) 二度命の長らへて 有経ん物とは白雪の 消てや中々忍ばれん」とあるのは(中世近世歌謡集),当浦をうたったものか。なお,海水浴場が横砂に開かれたのは大正15年で,開設と同時に臨時駅も夏季に設けられ,昭和4年市内電車が横砂まで開通。昭和35年清水港改築と埋立て埠頭の建設が始まり,工業用地化とともに同39年国鉄袖師駅は廃止され,白砂で遠浅の海水浴場は消滅した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7112424