竹島
【たけしま】

蒲郡(がまごおり)市竹島町の海岸から400mの沖にある島。面積1.9ha，標高22m，周囲680mで，楕円形をなす。基盤は花崗岩質で表土は浅く，海岸の岩盤が出て断崖をなす。全島が照葉広葉樹林につつまれ，いわゆるタブ型森林を構成し，極盛相に達している。暖地性植物65科238種が繁茂していることから，昭和５年八富神社社叢として国天然記念物に指定された。島内には，琵琶湖の竹生島から移された竹島弁財天が祀られ，享保20年に社号を八百富社と改称した。対岸一帯の氏神として，12年目ごとの弁財天開帳の時だけ臨時の木橋が架けられた。昭和７年名古屋の繊維問屋滝信四郎がコンクリート橋を架設して地元に寄付したことから，竹島は観光蒲郡の拠点として脚光を浴びるようになった。戦後，同26年９月までアメリカ進駐軍の休養地に接収されたが，解除後は春・秋の行楽客，夏の海水浴客が多く訪れるようになった。しかし，護岸の整備，埋立地の造成，海水汚染などにより海水浴はできなくなり，潮干狩りに訪れる人も少なくなった。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7120144