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姫島
【ひめしま】


渥美(あつみ)郡田原町片浜の北2kmの渥美湾に浮かぶ島。東西に長い楕円形をなし,周囲1.5km,最高所62.1mの無人島。三河湾にある20余の島の中で,最も東に位置する。中央構造線に接し,カンラン岩および蛇紋岩よりなる。明治期以前は飛馬島とも書かれた。古墳が1基あるほか,野生のクワの古株や古井戸があることから,かつては人が住んでいたと思われる。島には倭姫命が伊勢路から来島し,初めて蚕を飼ったという伝説や,多くの大蛇がいたという話も伝わる。寛文10年から享保9年まで,田原藩の馬の放牧場として利用され,正徳元年の藩日記「万留帳」に,飛馬島放牧駒は牝馬6匹・牡馬1匹とあるが,実績はあがらなかったとみえる。「三河雑抄」に「姫島―前芝ヲ乗出シテ海上二里余ニシテ左の方ニ見ユ,此島ニ野馬有ト云」とある。「三河国名所図絵」には,「飛馬島 波瀬村より一里許海上に有。統叢考に云往昔右大将頼朝卿宝飯郡丹野村御堂山に馬を奉納あり。其馬出て引馬の若草をはむ。夫より引馬を御馬と号す。彼馬蒼海を遊きて南方の島に至る故に其辺を飛馬島と号くと見ゆ」とある。島はササやススキ・小松などでおおわれ,島の周囲に海岸性植物が自生するが,周辺は臨海工業用地として造成が進んでいる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7122642