100辞書・辞典一括検索

JLogos

13

覆盆子洞
【いちごどう】


「ふぼんじどう」ともいう。伊勢市矢持町菖蒲,鷲嶺の東麓標高約300mの地点にある水洞。地質は,秩父古生層群中のレンズ状石灰岩に形成された鍾乳洞で,200mまで調査されている。洞穴の水流は豊富で壮年期のものとされ,県天然記念物。地名は,当水洞付近が平家落人の集落(横輪・菖蒲・下村・上村・床の木)で,一宇郷(集落の意)・覆盆子谷と呼ばれたことにちなむ。一宇郷が転化して伊智護(いちご)となり,さらに伊智宇護となり,それが名称の由来といわれる(勢陽五鈴遺響)。伝説によれば北条氏の急襲に平氏の老人・婦女子をこの洞穴に隠して難を逃れたという。ふもとに文治元年3月創建の知盛の菩提寺久昌寺があり,国宝阿弥陀如来をはじめ平家落人の遺品を奉蔵している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7125221