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大内山川
【おおうちやまがわ】


宮川最大の支流。度会(わたらい)郡大内山村大台ケ原に源を発し,同郡紀勢町・大宮町を北流し,多気郡大台町三瀬谷で宮川に合流する。1級河川。流長30.7km・流域面積160km(^2)。支流には梅谷川・唐子(からこ)川がある。当川沿いは,紀伊山地東南部の壮年期の山々(600~800m)に囲まれた谷間の地であることから古くから大内山谷と呼ばれた(勢陽五鈴遺響)。川沿いに国鉄紀勢線と国道42号(熊野街道)が走り,荷坂峠を経て紀伊長島町に至る。流域一帯は林業が中心で良質のヒノキ・スギを産し,シイタケや茶の栽培のほか,近年は酪農も盛ん。丸太は昭和初期の鉄道開通までは,一本流しで大台町佐原まで流し,佐原でいかだに組み宮川を下り伊勢市大湊まで運んだ。当時の当川は紀州路の交易路で,佐原は日用品・雑貨を積んだ鵜飼船と呼ばれる川舟の往来でにぎわった。佐原は現在も紀勢線三瀬谷駅があり,大杉谷方面からも木材が運ばれ木材市場があり,製材・チップ工業が盛ん。大宮町から大台町の中下流は奥伊勢宮川峡県立公園区域で,右岸の阿曽には阿曽温泉,滝原には伊勢神宮の別宮の滝原宮がある。大宮町中心に観光開発が進み,右岸の長者野(はぶかの)にはテニス・バレー・アーチェリーなどのスポーツ施設と青少年旅行村がある。滝原には全国初めてのサイクリングセンターが昭和51年に完成し,七保峠・大内山川沿いにサイクリングロードが延び,夏休みを中心に家族連れや青少年たちでにぎわう。長者野には県企業庁の灌漑・発電用ダムがあり,発電用水はトンネルで大台町長ケの中部電力長ケ発電所に送水され,最大2,400kwを発電する。合流点の大台町菅合には天保の頃に建設された灌漑用水路の跡が残る。合流点付近では水面と田畑の標高差は約30mあり,宮川は農業用水として利用できなかった。大宮町阿曽に井堰を建設し,大台町川合,菅合まで送水する計画であったが途中で工事は終わったという。水路は山林の中に半ば埋没し一部しか確認できない。中流右岸の大宮町では石灰岩が採掘されており,埋蔵量は2億7,000万tと推定されている。支流の唐子川沿いに頭之宮四方神社があり,頭の神・学問の神として知られ,紀勢町柏崎の谷間には,木地屋の村が残る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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