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川俣谷
【かばただに】


平安期~江戸期に見える櫛田川上流域の名称。「太神宮諸雑事記」の延久元年7月の条に初見。「勢陽五鈴遺響」には「波瀬村ヲ始トシテ粥見村ニイタリ,行程七里ノ間ヲ方俗川俣谷と称ス」と記され,現在の飯高町と飯南町の一部の櫛田川流域に比定される。当谷の近世の産物は,煎茶・シイタケ・串柿・モミ・ツガの材木などであった(勢陽雑記)。特に茶は,「松坂権輿雑集」に「一,新町,天正十六年松ケ島より移……川俣谷にて製し来煎茶関東に運送の問屋多,宝永七寅年町中の茶荷八千七百五拾駄」と記され,松坂商人の手により大量に商品化されていった。行政的には,近世紀州藩支配下の地域で,流域40か村を波瀬組・七日市組・滝野組に分け支配した。川俣川(現櫛田川)に沿って和歌山街道(紀州街道・川俣街道ともいわれた)が通り,波瀬・七日市・宮前(滝野)は宿場町として栄えた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7126051