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三瀬坂
【みせさか】


度会(わたらい)郡大宮町字里と字三瀬川との間にある坂道。標高約250m。伊勢と熊野を結ぶ熊野街道の一部。奈良期に開かれ(太神宮諸雑記),江戸期には熊野道として,巡礼者に盛んに利用された。特に幕府が紀州領へ巡見使を派遣し,内宮から滝原宮へ例幣使を参向する公道として重要な道筋であった(大宮町旧事記)。坂道は幅約2mあり,曲がり角ごとにサクラが植えられ,山頂には地蔵像があり,盛時には茶屋が2軒あった。麓の三瀬川には宿場があって,往来はにぎわったと伝えられている。明治35年船木橋(同38年再建)が設置され交通量は減った。大正14年国鉄紀東線三瀬谷駅の開業によって,交通は県道熊野街道に移った。昭和34年県道は国道42号となり三瀬坂の機能は終わった。現在林道として利用されている。坂名の由来は,「倭姫命世紀」に真奈胡の神が,垂仁天皇の行幸に際し,河波荒れ早瀬となった宮川を,お渡し奉ったことから,この瀬を真奈胡の御瀬(みせ)といい,そこに御瀬神社を定められた(勢陽五鈴遺響)。この御瀬が三瀬の名の由来と伝えられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7129392