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伊吹山地
【いぶきさんち】


近江盆地の北東部に位置する山地。岐阜県との県境をなし,また中部地方と近畿地方を画する山地ともなっている。北から三国ケ岳(みくにがだけ)(1,093m)・土蔵岳(つちくらだけ)(1,002m)・金糞岳(かなくそだけ)(1,314m)を経て,県下最高峰の伊吹山(1,377m)へと連なり,そこから急に降下して関ケ原の地峡にのぞんでいる。地塁性の山地で,西側は柳ケ瀬(やながせ)断層,南側はそれに続く浅井(あさい)断層で盆地とを境するため,山腹から山麓にかけては直線的な急斜面をなしている。地質は伊吹山の石灰岩をはじめ,おもに秩父古生層と花崗岩からなっている。土蔵岳南西の土倉鉱山(現在閉山)は県下唯一の銅鉱山であった。伊吹山の山腹から山麓にかけては,セメント原料としての石灰岩の採掘場や工場が位置している。西斜面には「白じゃれ」や「大富ぬけ」と通称される大規模な崩壊地の跡が存在している。明治42年の姉川(あねがわ)地震の震源地もこの北西部に当たる。山地を刻む主な谷は高時(たかとき)川・杉野(すぎの)川・草野(くさの)川・姉川などであり,いずれも山間部で南北に流れるが,山麓からは右折しつつ琵琶(びわ)湖へ流入している。多雪地域で,伊吹山々頂の山岳測候所では積雪11.8m(昭和2年2月)を記録しており,南麓の関ケ原から米原に至る一帯は東海道本線・名神高速道路最大の深雪地で難所とされている。山地は琵琶湖国定公園の一部に属し,登山・ハイキング,冬季にはスキー客が多い。主峰の伊吹山へは岐阜県側の関ケ原から伊吹山ドライブウェー(冬期は閉鎖)が通じる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7130581