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打出の浜
【うちいでのはま】


「うちでの浜」ともいう。大津市松本石場付近で,鳰(にほ)の浜埋立地の両方にあたる。旧東海道沿いで,石山詣に向かう貴族たちも多く通過している(蜻蛉日記・更級日記・源氏物語)。「枕草子」の205段にも「浜は……打出浜」とあり,さらに「山槐記」元暦元年九月条に見える「近江国注進風土記」の中にもその名が見えるなど,名高い浜であった。船着場もあったもようで(石山寺縁起絵巻),江戸期は,ここから対岸の矢橋(やばせ)へ盛んに舟が行きかった。この地名は,逢坂(おうさか)山を東に越えて眺望がひらけた地がまさに近江国のこの地というところからきていると思われる。江戸期,京都からこの地まで旅人を送り迎えした「酒迎え」の地であった(伊勢参宮名所)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7130737