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桜谷
【さくらだに】


佐久良谷とも書き,佐久奈(さくな)谷ともいう。大津市大石東町にある谷。佐久奈度神社付近,瀬田川中流の鹿跳(ししとび)の瀬あたりを称する。永正13年3月の「佐久那度社記」(栗太郡志)によれば,谷名の由来は「山岳裂けて低下の所を開く」ところにあると記す。鎌倉期以降になると,佐久奈谷以北の浦々は,粟津勢多供御人らの「領海」であると主張されたが(鎌遺2149),その活動の実態はわからない。また瀬田川の急流のつくる奇岩で,古くから景勝地として知られており,「蜻蛉日記」には「いざ,さくなだに見にはいでん」とある。「夫木抄」に「にほてるや桜谷より落ちたぎつ波も花咲くうぢの網代木」(慈鎮)とあり,「名寄」には源俊頼の「春ならで桜谷には見にゆかじこりにもこりぬ道の遠さに(春ならぬ桜谷をば見にゆかじ秋ともあきぬ道の遠さに)」の歌がある。なお佐久奈度神社は「延喜式」「文徳実録」「三代実録」などに見える古社で,天智天皇時代の創建と伝える。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7132478