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鈴鹿山地
【すずかさんち】


近江盆地と伊勢湾とをへだてる南北約55km・東西約10kmの山地。鈴鹿山脈ともいう。北は関ケ原(せきがはら)低地で伊吹(いぶき)山地と境し,南は加太(かぶと)地溝によって布引(ぬのびき)山地と境するが,ときには布引山地を含めることもある。西方にやや傾斜しながら隆起した地塁山地で,分水界は東側に著しく寄っている。このため伊勢湾に臨む東側の斜面は急斜し河川も短小急流で,山麓では扇状地を発達させる。これに対し,近江盆地側には緩斜しつつ低下しており,河川も山麓までの距離が長いため山間部に発達する支谷が多い。このため山間には野洲(やす)川ダム・日野川ダム・永源寺(愛知(えち)川)ダム・犬上ダム等の多目的な開発に利用されている河川が多く,下流では琵琶(びわ)湖に向かってそれぞれ三角洲を発達させ,湖東平野を形成している。地質は山地の北部から西部にかけては主として秩父古生層の粘板岩・砂岩・石灰岩・チャートからなり,東部から南部にかけては主として花崗岩からなっている。中央部の御在所(ございしよ)山(1,210m)を最高峰に,それより北方に釈伽ケ岳(しやかがだけ)(1,092m)・竜ケ岳(りゆうがだけ)(1,100m)・藤原岳(ふじわらだけ)(1,143m)・鈴ケ岳(すずがだけ)(1,100m)・霊仙(りようぜん)山(1,084m)などが,また南方には鎌ケ岳(かまがだけ)(1,157m)・仙ケ岳(せんがだけ)(955m)などの山が連なる。北部の石灰岩からなる霊仙山・御池岳(おいけだけ)・高室(たかむろ)山の山頂域にはドリーネが発達,また山麓には河内(かわち)の風穴・佐目(さめ)の風穴などの鍾乳洞があり,総称して「近江カルスト」と呼ばれている。一方南東部の御在所山付近は花崗岩からなる巨大な岩塊が多数裸出した奇岩地として知られ,藤内壁(とうないへき)等はロッククライミングの好場ともなっている。山地の主要部は鈴鹿国定公園に指定(昭和23年10月14日)され,山麓の湯ノ山温泉から山頂にかけて長さ2,400mのロープウェーが敷設され,山頂の南部には山地を横断する鈴鹿スカイライン(有料)も開通しており,四季を通じ登山・ハイキング・ドライブ客が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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