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鈴鹿峠
【すずかとうげ】


甲賀郡土山町大字山中と三重県亀山市坂下の境にある峠。かつて都と東国を分ける境界で東海道の要衝でもあった。標高378m。大化2年,関の1つ鈴鹿(すずか)関が設けられたが,当時近江から伊勢への官道は倉歴(くらぶ)越が利用されていたので,関ははじめは三重県鈴鹿郡関町付近にあったという。仁和2年,鈴鹿峠越の阿須波道(伊勢大路)ができ,以来歴史上重要な役割をもつようになった。中世の乱世期には,山賊が横行し,それにまつわる伝説も多い。三重県指定の天然記念物「鏡岩」,坂上田村麻呂の鬼神退治,恵心僧都の化蟹退治など,鈴鹿と山賊の関係は有名である。江戸期には宿駅制の整備に伴い,峠の西側に土山宿,東側に坂下宿が設けられ,旅人の宿泊が多かった。東の箱根越と並んでの難所であり,峠にも大小数十軒もの茶屋や問屋があったといわれる。明治2年関所廃止,同5年宿駅制廃止,さらに同24年草津線の全通は,峠の通路としての機能を低下させ,大正15年,鈴鹿トンネルの開通により,仁和2年以来の峠の役割を終えた。現在,峠は東海自然歩道,南鈴鹿の縦走路として利用されている。峠には巨大な自然石の道中安全の常夜燈があり,「金比羅大権現永代常夜燈」,台石には「万人講」と刻まれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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