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土倉谷
【つちくらだに】


伊香(いか)郡木之本(きのもと)町の北東端,姉川水系高時川の支流杉野川の源流の谷。岐阜県境に位置する土蔵岳(1,008m)の西斜面,海抜300~700mにかけ全長約4kmの比較的開析の進んだ谷。この谷は17世紀末,彦根藩の御用炭焼の釜子として隣接する余呉(よご)町柳ケ瀬(やながせ)の人々が移り住んで以来,薪炭生産地として開かれてきた(伊香郡志)。明治40年,谷口の出口土倉(でぐちつちくら)で銅鉱が発見され,同43年田中鉱業株式会社の手により採掘が開始された。黄銅鉱・斑銅鉱・黄鉄鉱を中心に少量の金・銀を産し,「いも」とよばれた鉱脈は,福井・岐阜・滋賀3県に及んでいた。最盛時,銅鉱年産1万8,000t,従業員2,000人と県内最大の鉱山だったが,資源の枯渇化,安価な外国産銅の流入などにより,昭和40年閉山し,土倉谷にあった土倉・出口土倉の2つの集落は廃村となった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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