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飯道山
【はんどうさん】


甲賀郡信楽(しがらき)町大字宮町の東方,信楽・水口(みなくち)・甲西の3町にまたがる山。標高664.2m。近江の大峯山とも呼ばれる修験道の霊山である。古来餉(かれい)山といい,飯道寺創建後,金寄山と号し,飯道寺山と呼んだ。また遐齢(かれい)山・餉嶺ともいい,般童子山とも書く。全山花崗岩で,のぞき岩・不動押し分け谷・蟻の塔渡し・胎内くぐりなどの奇岩怪石がある。山頂には奈良時代に紫香楽(しがらき)宮鎮護のために建てられたという飯道寺跡があり,僧房58宇を有していたといわれ,単なる修験道場ではなく,山岳仏教の道場としての色彩を帯び,多くの五輪塔がいまなお残っている。また和銅年間に熊野本宮を分霊したという飯道神社は,式内甲賀8座の1つ。「延喜式」では「いいみち」と訓注。久安2年,「飯道権現」の勅額をうけ,中世には油日(あぶらひ)大明神とともに甲賀郡内の信仰を集めた。南北朝期,山上に城郭が築かれ,建武4年4月,佐々木道誉に従う山中道俊・頼俊,柏木源蔵人らが軍忠を行った(山中文書2-7)。なお飯道山は一時興福寺末寺の扱いをうけたようで,嘉吉元年に再録された「興福寺官務牒疏」にその名が見える(寺誌叢書3/大日本仏教全書3)。戦国期には甲賀忍者の修練場でもあった。現在山頂には飯道寺跡・飯道神社・行者堂・弁天堂・五院跡・木喰上人墓などがある。水口側(水口町三大寺)の飯道山麓には良弁が開創したと伝える僧坊があり,現在の飯道寺がある。飯道山へはハイキングコースもあり,四季を通じて名勝地となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7134624