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比叡山地
【ひえいさんち】


琵琶(びわ)湖南部の西岸をふちどる地塁山地。途中(とちゆう)峠をはさんで北方の比良(ひら)山地に連続する。京都盆地側の花折(はなおれ)断層と近江盆地側の皇子山(おうじやま)断層とにはさまれ,北部に標高700m前後の小起伏面,南部には400mの小起伏面が発達している。前者には主峰の四明岳(しめいだけ)(848m),後者には如意ケ岳(によいがだけ)(470m)・大文字山(466m)が位置している。この山地には古来延暦寺が位置し,大文字の送り火行事が行われ,山麓にかけても多数の社寺を有する聖域としてのイメージが強い。また山間部を東西に横断する志賀越(しがごえ)・山中越(やまなかごえ)は近江・京都間を最短距離で結ぶ重要な交通路であった。山頂域は京都・近江両盆地一帯にかけての絶好の展望地であるため,観光地としての開発が著しい。昭和初年に東麓の坂本(さかもと)からケーブルカーが敷設され,続いて西麓の八瀬(やせ)からもケーブルカーとロープウェイにより四明岳(しめいだけ)山頂に容易に登れるようになった。戦後はさらに山中越を経て四明岳へ通じる比叡山ドライブウェイ(8.1km)が開通,回転展望台・ホテル・ゴルフ場・人工スキー場等が次々と開設され多彩なレクリェーション地域と化した。さらに昭和39年の琵琶湖大橋の開通に合わせ,前記ドライブウェイとを結ぶ奥比叡ドライブウェイ(11.8km)も開通し,比叡山地縦走バスの運行をもみるようになった。また小起伏面上の一画には山上の街「比叡平(ひえいだいら)」が出現しており,全山にわたって開発の傾向が著しい。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7134646