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三上山
【みかみやま】


野洲(やす)郡野洲町大字三上にある山。標高427m。近江平野部第1の秀峰で,均整のとれた美しい山容から「近江富士」ともいわれている。野洲郡・守山(もりやま)市を形成する湖東平野南部の野洲川沖積平野の東縁にあるこの山は琵琶(びわ)湖陥没時の残丘で,古生層の接触変質岩からなり,頂上は雄山と雌山に分かれ,古代には原始信仰の対象としての神体山であり,今も巨大な磐座がある。この一帯は安国造(やすのくにのみやつこ)の子孫三上祝(みかみのはふり)の治めた地で,その祖先として,また農業の開拓神として天之御影命を祀る(記紀)。山麓の御上神社は,養老年間の造営とされ(三上神社文書・源平盛衰記),式内社で名神大社(延喜式)。宝亀年中,大和大安寺の僧がここで修行したとき,本社をさして陀我(だが)大神と称している(日本霊異記)。元暦元年9月の「近江国注進風土記」にも三上山の名があり,平安末期には著名な山名として流布していた(山槐記)。現在は,国道8号で山地と神社は区切られている。中腹に妙見堂,山麓登山口には天保義民土川平兵衛の碑がある。また,藤原秀郷(俵藤太)の蜈蚣(むかで)退治の伝説(御伽草子・和漢三才図会ほか)から,蜈蚣山(百足山)ともいわれている。頂上からは,県南部が一望でき,秋はマツタケ山としてにぎわう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7135291