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朝日山
【あさひやま】


宇治市中央部の宇治橋南東にある山。標高126.7m。宇治川が京都盆地に入る地点の右岸に位置する。中世以降,宇治茶の名園として知られる。「尺素往来」には栂尾の茶園が衰微したのに対して宇治茶が台頭する様子が記されており,「朝日」という茶園名も見える。近世後期成立の「嘉木誌」は東山期(室町中期)の宇治七名(茗)園として,祝・宇文字・河下・朝日・琵琶・奥山・森をあげ,当地は茶所宇治の中でも著名な産地として知られた。さらに立地上の好条件から中世において城館的な施設が構築されていたとする可能性も強く,近世には淀城主永井氏が淀城に代わる第2の城として興聖寺を中興したともいわれる要害の地(宇治市史)。「山城国風土記」逸文には宇治の名所,「京羽二重」には宇治十二景の1つ「朝日靄暉」とあり,住山旭峰の板行になる宇治名所案内にも宇治八景の1つとして「朝日山紅楓」が描かれ,宇治における著名な観光資源でもあった。遠州七窯の1つであり,小堀遠州によって発展した朝日焼の名称も朝日山にちなむ。「万葉集」巻9に「妹らがり今木の嶺に茂り立つ嬬松の木は古人見けむ」とあり,今木の嶺を朝日山の古名とする説もある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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