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一之坂
【いちのさか】


宇治市街地にある坂。同市宇治の主要地方道宇治淀線沿い,宇治橋の西方に位置する。南行すれば宇治市役所にいたる道路との交差点になっており,交通上の一停滞地にもなっている。旧街道(奈良街道)に沿い,中世番保の壱番と弐番が東西におかれた。この道路は古代からのルートと考えられるが,豊臣秀吉の時代に疏通されたと「山州名跡志」は伝える。付近には,江戸期一之坂町と呼ばれた町名があり,江戸中期以降に東・西両町に分かれ,次第に衰退した。元禄11年3月3日,御物茶師酒多宗有家の女中お亀が酒多家の息子に恋慕して遂げられぬ想いから放火したいわゆる「お亀の火」といわれる大火事は,折からの西風にあおられて茶園10町・家数550余軒などを焼き尽くしたが,火元である酒多家は,この当時の一之坂町付近にあったと伝えられる(宇治市史)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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