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小塩山
【おしおのやま】


京都市西京(にしぎよう)区大原野地区の西方にある山。標高641m。山名の由来は,「扶桑京華志」に「郷ヲ以テ名ク焉」とあり,小塩の地名によるという。異称・別称が多く,大原山(雍州府志)・清塚山(府地誌)のほか乙訓西方の山々の総称としても,小塩山は用いられた(五畿内志・乙訓郡誌)。山頂には淳和天皇陵がある。山麓には花の寺として名高い小塩山勝持寺がある。寺伝に,「勝持寺の背後の小塩山は往昔その山巓に塩池があった。そこに毒蛇が棲み,常に俚人に害を与えるので,役小角がそれを見かねて錫杖を振ること三度,毒蛇忽ちにして黒雲を起こして飛び去った」(京の魅力)という伝説がある。また「乙訓郡誌」は「十輪寺本堂奥山に塩窯の跡あり」として在原業平が,難波からくんできた潮水で塩を焼いて立ちのぼる煙をみて楽しんだと伝えている。「平安通志」は「古来有名ノ地ニシ,列聖ノ行幸或ハ遊猟アリシ所,……四時ノ風光皆宜シ,東山ト相対シ皆京都ノ名勝タリ」と西山小塩の風光をたたえている。古歌にも多く歌われ,「身をばかり小塩の山と思ひつついかに定めて人の入りけむ」(新古今集),「大原や小塩の小松葉をしげみいとど千年の影となるらむ」(新勅撰集)などがあるほか,「伊勢物語」にも「大原や小塩の山もけふこそは神代のことも思ひいづらめ」とよまれている。しかし「扶桑京華志」に「王城ノ西南二十里斗リ」とあるように都人にはかなり遠い所であった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7137848