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音羽山
【おとわやま】


京都市山科(やましな)区にある山。山科盆地の東,滋賀県との境に位置する。標高593.4m。音羽山および支脈の牛尾山の西麓には音羽川が北流し,音羽滝・経岩などがある。また,音羽山の南北方向の稜線上を東海自然歩道が,頂上直下付近を東西方向に国鉄東海道新幹線の音羽山トンネルがそれぞれ通じる。逢坂関の南の続きに険しくそびえているためか古来多くの歌に詠まれ,その中には逢坂関と併せて詠みこまれたものも少なくない。「古今集」の「音羽山音にききつつあふ坂の関のこなたに年をふるかな」,「拾玉集」の「音羽山卯の花垣にをそ桜春と夏とやあふ坂の関」などがある。西南の山腹に牛尾山法厳寺(厳法寺)がある。天智天皇作と伝える千手観音を本尊とするため「牛尾観音」と通称され,天智天皇の故地という。また,「都名所図会」に「当寺はむかし延鎮沙門音羽川の水上を尋ねて行叡居士の沓を拾ひ大悲の化現なる事を智せる霊場也〈洛陽清水寺の縁起に委し此沓当寺の什宝也古は伽藍厳重にして旧地は山上に有〉故に清水寺奥院と称しける」と記す。これは法厳寺の後山が音羽山であり,一方清水寺の山号が音羽山であることなど,法厳寺と清水寺の関係が深いことを伝える。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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