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笠置山
【かさぎやま】


鹿路山・鹿鷺山(山州名跡志・雍州府志)ともいう。相楽(そうらく)郡笠置町南部,木津川の南岸にある山。標高288m。北麓を木津川,東麓を布目川,西麓を今川・白砂川が流れ,南方は尾根路を経て奈良市へ通じる。麓から山頂まで絶壁・巨岩が多く,「雍州府志」には「其山至険峻也」とある。山容については「太平記」に「笠置の城と申すは山高うして一片の白雲峯を包み谷深うして万仭の青岩道を遮る」とあり,「笠置寺縁起」にも「当山は日本無双の城。高山峨々として聳え,嶺は雲に隠れ,深山峡々と沈みて麓に寵れり」とあり,山城を築くにはもっとも恵まれた自然的条件を備えていた。また,古くから貴族の狩猟地(笠置山紀)で,奈良期以降弥勒信仰の霊場となり,中世には山伏修験者の修行場となった。元弘元年笠置山上の笠置寺を中心に後醍醐天皇と幕府軍とが戦った元弘の乱が起こった。南西麓にある後醍醐天皇の行宮所跡は笠置寺大伽藍の一部分で,現在の正月堂付近は本陣であったという。後醍醐天皇行宮跡は石柵をめぐらして保存され,二品彰仁親王の筆になる記念碑が建つ。また元弘の乱で一部消滅した虚空蔵仏が山上の巨大な岩石に刻まれている。当山は昭和7年国史跡・名勝に指定され,現在は府立笠置山自然公園に属している。近年自動車用の登山道もつけられたが,険しい旧道に沿って登ると,途中に斬込谷・地獄谷・下の堂・名切石などがあり,元弘の乱をしのばせる。また,桜・もみじの名所でもあり,年中観光客が訪れ,東海自然歩道をはじめ,当山を中心とした数種のハイキングコースがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7138065