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衣笠山
【きぬがさやま】


絹笠山・絹蓋山とも書き,衣(絹)笠岡・絹掛山・衣掛山(日本永代蔵)とも称する。京都市右京区と北区の境にある山。南方に等持院があり,標高200.6m。南麓は葬送の地で,山名は遺骸を覆った布帛が絹掛・絹笠であったことによるという。また一説に山容が絹笠(絹張りの長柄の笠)に似ているので名づけられたともいう。別称の絹掛山は,寛平法皇が真夏に雪見を望んで峰に白絹を掛けさせたという伝説による(都名所図会)。「日本紀略」に「寛平二年七月十八日絹笠岳の御霊会なり」とあるように,平安期,御霊会の営まれた地であった。その怨霊を祀ったのが,現在真如寺の門前にある六請神社といわれる。一方,北山とも通称され,王朝時代からの行楽地で,紀貫之はこの北山のもみじ狩りに誘われて,「見る人もなくて散ぬる奥山の紅葉はよるの錦なりけり」と詠んだ。「管見記」に「嘉吉三年三月十二日,衣笠岡に出て蕨を採る,山中において盃杓あり」とある。西園寺氏がこの地に営んだ別荘は北山別荘と呼ばれたが,これは足利義満の北山殿すなわち鹿苑寺の前身である。西方にある地蔵寺山と西芳寺山を合わせて衣笠山ともいった(雍州府志)。北方には桃山(464m)が,なだらかな山形をみせる。




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「角川日本地名大辞典」
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