久美浜湾
【くみはまわん】

松江の浦・久美の浦ともいう。丹後半島西部，熊野郡久美浜町北部にある港湾。小天橋（砂嘴）で日本海と隔てられた断層（潟）湖であるが，塩分は外海と同じ。面積7.3km(^2)・周囲25.8km・最大水深23m・平均水深約６ｍ。佐濃谷川・川上谷川・栃谷川・久美谷川などが流入するため，次第に浅くなりつつある。小天橋には日間の松原という名勝地があり，その西端にある湊大橋は長さ140mで対岸と結び，中央部には昭和41年完成の電動式回旋橋がある。江戸期には，郡内の御城米は久美浜・川崎浜・長柄浜の三津出倉に集められたが，湾口が狭く，土砂の堆積・潮流がはげしいため，外海に面した旭港に停泊した本船に，艀で荷を運んだという。本来の湾口は北東方向へ一直線の水路であったが，明治37年～大正２年の湾口改修によって宮津・間人・浅茂川・津居山などとの連絡が容易になり，大正３年には久美浜～城崎間に発動機船が就航した。湾内では，ハマチ・カキ・クルマエビの養殖のほか，チヌ・スズキ・カレイ・ヒラメなどが獲れ，漁業が盛んである。湾一帯は山陰海岸国立公園に指定され，海水浴客の多い夏季に，丹後神野(かんの)～久美浜～湊宮間を定期船が就航する。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7139606