100辞書・辞典一括検索

JLogos

12

丹後山地
【たんごさんち】


奥丹後山地ともいう。府の北部,丹後地方の北半部を占める地塁性の山地。一部は兵庫県に属す。東北東から西南西に延び,東西約40km・南北約20kmで,西は日野川沿いの断層線で豊岡盆地に,南は阿蘇海,野田川,出石を結ぶ地溝で舞福山地に接し,東と北は直接断層崖で日本海と画される。断層線は山地内にも多くみられ,昭和2年の丹後大地震で生じた郷村断層や山田断層のように新しいものも含まれる。この断層群によって山地は高度差のある山地域に分断され,とくに網野と峰山を結ぶ郷村断層は地域を東西に大きく二分する。東半は丹後半島の標高500~650mの隆起準平原とそれを刻む多数の谷が発達し,西半は低山性の山地で,南の高竜寺ケ岳(697m)と磯砂山(661m)を結ぶ線を隆起軸として北へ緩く傾斜する。山地内を宇川・竹野川・福田川・佐濃谷川・川上谷川が並行して北流する。河川沿岸には峰山盆地など狭小な河谷平野がみられ,丹後地方における重要な農業地域となっている。また海岸部にはデルタの形成はほとんどみられないが,西部には砂丘が発達し,久美浜湾の溺れ谷は湊宮の砂洲(小天橋)でラグーン化している。丹後半島の海岸は断層崖となって落ちこむが,比高10~80mの海岸段丘が発達している。丹後山地一帯は,平地の狭小さと多湿で豪雪を伴う日本海型気候のために農業生産力は低く,江戸期以来養蚕と絹織物に活路を見出してきた。しかし明治期以降は離村する者が増加し,第2次大戦以後は30ほどの集落が廃村化するまでに至っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7142428