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中京
【なかぎょう】


洛中の中央部を示す汎称。中京の語は,史料上「看聞御記」応永27年6月27日条の「先日,中京辺在家四五間菖蒲を逆ニ葺云々」を早い例とする。ただしこの語はどの地域を指すか,また上京・下京の中間という意味にすぎないかは明確でない。中京の語は京の地理的中心部を意味して使用される例が多く,その示す地帯も下京域に該当する。しかし,室町期に至る商工業の発展は大きく上京・下京の区分を生み出すとともに,次第にその2区分では律せない,特に下京域の一地帯を出現させていったといえよう。応仁の乱・法華一揆を経て,織田信長の入京を迎える頃には,「上京中」は一条通以北,「下京中」は三条通以南に形成され,二条通界隈は一部艮組の町並みが伸びているほかは戦火からの復興は充分でなかった。そこで豊臣秀吉は,特に同地域に短冊型の町割を貫徹して,空間の有効利用を意図した。江戸期に入ると,二条城が築かれ,周辺には所司代屋敷なども設けられて幕府の京都における政治中枢の性格付けがなされた。また三条通にかけて金座・銀座も置かれ,三条通沿いには旅籠・北国問屋・飛脚問屋が並ぶなどにぎわいを見せるにいたった。この繁栄をうけて,元禄期頃から三条通一帯を再び中京の語で示すようになっていった。ただし行政的には中京域は存在せず,二条通での区分を原則に,以南は下京,以北は上京,それぞれの町組に編成されていた。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7143002