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西山
【にしやま】


京都盆地西方山地の総称。標高400~600mの丹波山地のうち。摂丹山地の一部であり,秩父古生層からなる隆起開析準平原である。小塩山(641m),ポンポン山(679m)などがあり,南端は大山崎の天王山(270m)である。当山地の隆起のため,北部を流れる保津川は穿入蛇行し,保津峡を形成した。東山に対する地名であり,保津川以北の山々をも西山と呼ぶことがある。衣笠山・御室付近の山をさして西山と呼んだ例は「更級日記」「蜻蛉日記」などにも見え,現在でも嵐山高雄パークウエーを西山ドライブウエーとも呼んでいる。西山の東山麓には標高70~130mの新旧の洪積丘陵が発達しており,西岡,西山丘陵,乙訓(おとくに)丘陵,向日町(むこうまち)丘陵,長岡丘陵などの呼称があり,その意味する範囲は異なることが多い。前三者は比較的広い範囲を示す呼称で,小畑川西岸の丘陵地帯をさす例が多く,後二者は小畑川東岸部分をさして用いられる場合が多い。丘陵は北北西から南南東方向のいくつかの断層によって分断されており,小畑川もこのような断層に沿って流下している。丘陵上には縄文時代以来の遺跡・遺物が多く発見され,8世紀後半には向日町丘陵一帯には長岡京が造営された。西山の山麓および斜面には,大原野神社・勝持寺(花の寺)・余蔵寺・三鈷寺・善峰寺・光明寺などがあり,これらの社寺・史跡も東山のそれと並び称せられたが,西山は京から遠く,東山に比して宗教的・厭世的な寂しさが感ぜられる地域であったようである。近世以降近郊農村として蔬菜・果樹・筍の産地として有名であり,孟宗竹の竹林はとりわけ著名である。近年は京阪間の住宅地として宅地開発が進行し,国道9号の南側の丘陵上には大規模団地の洛西ニュータウンが造成されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7143828