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山科川
【やましながわ】


京都市山科(やましな)区・伏見区,宇治市を南北に貫流する川。山科区大塚向畑町に発し,西流し東野付近で四ノ宮川・安祥寺川を合わせて南流し,勧修寺地区で旧安祥寺川を,さらに南流して高川を,伏見区に入って合場川・日野川などを合わせ宇治市北西端を横切り,桃山町本多上野で宇治川に合流する。延長11.2km・流域面積52km(^2)。「山城名跡巡行志」の櫃(ひつ)川の項には「山科河ノ一名」とあり,古くは櫃川とも呼んだ。「山城志」に「山科川源出粟田山鏡山等,経過御陵野,厨子奥,西野,川田等,至勧修寺与音羽川合,歴小栗栖,石田過紀伊郡六地蔵而入宇治川」と記載され,江戸期には現在の旧安祥寺川あるいは山科川下流域をさしていったものといえよう。また,源流部から四ノ宮川・旧安祥寺川の合流点までの流れを音羽川ともいう。支流の合場川には木津川で斬首された平清盛の子重衡が,鎌倉から奈良へ向かう途中,この河畔で中納言惟実の女大納言佐局らに会って別れを告げたという伝承があり,「雍州府志」の琴弾山の項に「在相場川東,重衡卿惜離別弾琴,於斯山下云」とある。また音羽川は,音羽山とともに和歌に多く詠じられている。建保3年10月の「内裏各所百首」には藤原定家の「音羽河雪けのなみも岩こえて関のこなたに春はきにけり」,藤原家隆の「相坂の関のこなたにをとは河音にききつるはるはきにけり」などがある。なお,比叡山西麓の西坂本(左京区)にも同名の川があり,「拾遺集」に見える。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7146578