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天野川
【あまのがわ】


生駒(いこま)山系の大阪府・奈良県の境界を流れ,北西流して淀川に注ぐ川。指定流路延長13.6km。「河内名所図会」は,当川の幽渓で水浴びした仙女の羽衣伝説を載せ,それにちなんで天野川と呼ばれるようになったと記す。源を四條畷市上田原に発し,大阪府・奈良県の境界を流れ,交野(かたの)市域に入ってから生駒山地を深い峡谷を刻みながら横断し,磐船(いわふね)街道がこれに沿って走る。峡谷には船形の巨石があり,これを神体とする磐船神社が鎮座する。また峡谷の最も落差の大きいところに鮎返しの滝がある。交野市私市で交野台地へ入る天野川は,尺治川・土生川・星田妙見川・小久保川・前川・免除川・北川・藤田川を順次合流し枚方(ひらかた)市岡付近で淀川に入る。「南遊紀行」によれば「砂川にて水少く,其川原白く,ひろく,長くして,恰天上銀河の形の如し,扨こそ此川を,天の川とは名付けたれ」とある。しかし豪雨時には濁流となって氾濫するので築堤を重ねつつ現状に至った。平安期に交野台地が狩場として知られるようになり,都の貴族は「狩りくらし七夕つめに宿からんあまのかはらにわれはきにけり」(伊勢物語)などのように多くの詩歌に詠んだ。現代にも観光的要素は受け継がれ,磐船の渓谷,私市のハイキングコースを訪れる人は多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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