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生駒山
【いこまやま】


伊駒山・射駒山(万葉集),往駒山・胆駒山(延喜式)とも書き,草香山(中河内郡誌)ともいう。東大阪市と奈良県生駒市との境界にある山。標高642.3m。金剛生駒国定公園に属する生駒山地の主峰で,古来河内と大和とを代表する名山として知られる。「河内名所図会」に「山嶺,南北長し。峯勢,寛にして,常にして巉(けわ)しからず,岩石,大樹なし。只,篠原にして,常に風凛(はげ)し」とある。その位置と大阪側に急斜面をなす地形とから,古代以来交通や軍事の上から重視されてきた。「日本書紀」の神武天皇即位前紀に「東のかた胆駒(いこま)山を踰(こ)えて,中洲(うちつくに)に入らんと欲す」とあり,これが山名の初出である。生駒越えを歌った万葉以下の古歌も多く,「万葉集」巻15に「夕されば日ぐらし来鳴く生駒山越えてそ我が来る妹が目を欲り」とある。また「新勅撰集」の源師賢の歌に「袖濡らす時雨なりけり神無月生駒の山にかかるむら雲」とあるように,峰に雲がかかった風情が多く詠まれた。奈良側の東腹に役小角が開いたと伝えられる般若窟があり,その下に宝山寺がある。同寺は「生駒の聖天さん」として大阪商人の信仰を集めている。昭和のはじめにはケーブルが山頂まで通じ,大阪電気軌道(現近鉄奈良線)直営の生駒山上遊園地が開設されて,眺望のすぐれた行楽地となった。その後,航空灯台や天文台が開設された。第2次大戦後は各局のテレビ塔が進出し,近年マイクロウェーブ中継所の設置などが相次ぎ,通信上の要地となった。山上遊園地の西に府民の森「ぬかた園地」が広がる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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